Ashiya Topics 「1.17の証言 思いを伝える 」 教育学科⑪

Ashiya Topics は、芦屋大学の様々な取り組みについてご紹介しています。
今回は、教育学科のゼミの様子をお届けします。

1.17の証言 思いを伝える
- それは私たちのResponsibirlity

 教育学科の「専門演習Ⅰ」(奥野ゼミ)では、12月より「1.17の証言 思いを伝える -それは私たちのResponsibility(役割、責任)」とういうテーマで、「取材する」こと、「まとめる」こと、「書く」ことを手法とし、その結果を「発信する」ことを目的とした演習を展開しています。

◇取材の様子
 窪田学長へ取材する学生
  
 
  
   
 
 ゼミで配付された資料を基に、その内容をご紹介します。

◇趣旨
 この演習(ゼミ)には教員を志す学生が集まっています。この学生が教員になった時には、「防災教育」を生徒たちに指導しなければなりません。しかし、「防災教育」といっても、本当の意味で災害の実態を知ることなしに生徒たちに災害の備えを説くなど、ただの絵空事に終わりかねません。火山被害・台風被害・大雨暴風被害・豪雪被害・震災などをはじめ、我が国には自然災害に苦しめられ多くの犠牲を強いられてきた歴史があります。それから逃れる備えを説くためには、1つ1つの災害の「怖さ」を私たち自身が知り、被害にあった時にはどのような術(すべ)で耐えなければならないのかという現実を知り、生徒たちに(リアルに)語ることができるようにしておく必要があるのではないかと思われます。

 そして、2023年1月17日で阪神淡路大震災が発生以来28年目を迎えました。ということは、およそ35歳以上ぐらいの方々でなければ、当時のことを記憶として蘇らせるのが難しい時代に入ってきているということでしょう。阪神淡路大震災では、当時6,434名の尊い命が犠牲になり、行方不明の方も多くいるとされています。しかし、生きながらえて家族を支え、仕事を立て直し、街の復興に一生懸命頑張ってこられた方も1人、また1人とこの世を去ってしまい、あの当時のこと…苦難・不安・絶望・孤独・などなどやりきれない思いの中で生きてきたこと…を語り継ぐ方が、今や影をひそめるように暮らしているように思います。
(中略)
 そして、2011年3月11日に発生した東日本大震災という18,425人の死者・行方不明者を出すという未曽有の災害が発生します。原子力発電所の事故を伴いながら東北地方の各地では、いまだに復興のめどが立っていないところもあるようです。
 そんな中で、阪神淡路大震災の「風化」を心配する声があります。「苦しかったから、嬉しかったこともあった」「つらかったから、楽しかったこともあった」「こんなことをしっかりと教訓にしよう」・・・それを次の時代を担う子どもたちに語り継ぐことが、今、大学生のあなたたちのResponsibilityです。


◇「取材する・まとめる・書く・発信する」

【その1】 12月
・芦屋大学の教職員の震災体験を取材する計画を立てる
・2人1組でチームを組み、できるだけたくさんの方からの震災体験を集める
     ↓
【その2】 冬季休暇中の課題
・家族・親戚・友人の震災体験を取材する
     ↓
【その3】 1~2月
・ゼミの中で各自が取材した報告書の読み合わせをする
『1.17 思いをつなぐ』というタイトルで冊子にし、「調べて書いたこと」を発信する
・「発信」の仕方については、みんなでアイディアを出し合う

 取材の前には担当教員よりアポイントメントのとり方、取材メモ・質問項目の準備、心構え、注意事項など「取材の心得」についてアドバイスがありました。また、質問項目は、ゼミ生全員で一緒に検討しました。


◇ゼミの様子
 取材後の報告書読み合わせ・意見交換
  
  

  

◇取材を終えた学生の感想(一部紹介)
▪ゼミの課題と思って取り組んだが、実際に震災を体験した方々のお話をお聴きすると、軽い気持ちで向き合おうとした自分がとても失礼であることが分かった。

▪ご家族を失ったり、家屋が全壊した職員のお話に思わず涙が溢れそうになった。その方によると、ここまで詳しく体験を話したことはなく、震災から28年が経った今回が初めてとのことだった。実際にその当時の悲しい記憶を思い出したくない方も多いようで、取材することがよいことなのかどうかもわからなかった。

▪神戸の震災後の街の様子を聴いているだけでも、胸が苦しくなった。

◇完成した冊子
 「1.17の証言 思いを伝える - それは私たちのResponsibirity」
  


 取材の中でゼミ生たちは、取り組もうとしているテーマの大きさや人の命の尊さに改めて気付かされたようです。目上の方々への取材で苦労していましたが、今回の学びから次の世代に「思いをつないでくれる」ことを期待します。


◇教員紹介

奥野 拓司 OKUNO,Takuji
臨床教育学部 教育学科

准教授
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次回の Ashiya Topics にもご期待ください。
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