ビジョンについて

2024年07月17日

今回は、「見る」ことをすこし深堀したいと思います。「よく見てごらん」とか「見えた?」と言いますね。これは、どのような意味で「見る」という言葉を使っているのでしょう。この場合は、「確認してごらん」「分かった?」という言葉が込められています。このように「見る」もしくは「見える」ということは、「分かる」「理解する」ことであると言えるのです。

それでは、見るということを日常生活でどのように使っているのか考えてみましょう。例えば、回転寿司に行ったとしましょう。あなたは、寿司の皿が流れるレーンを見ていて、「中トロ」が食べたいと思ったとします。

そうするときっと次のような行動をすると思います。

① 流れてくる寿司を次々と見る

② 中トロを見つける(中トロだと分かる)

③ 中トロの皿の動きをじーっと見る

④ 皿が近づいてきたら取る

この一連の行動を少しアカデミックに分析してみましょう。

流れてくる寿司を次々と見るとき、素早く目を動かして次々と流れてくる寿司ネタを見ます。これを跳躍性眼球運動(Saccade)と言います。中トロを見つけたらその皿を見じっと見てその動きを追視します。これを追従性眼球運動(Pursuit)と言います。その皿が近づいてきたら皿までの距離を推測して手を伸ばしゲットします。もし、この一連の見る機能がうまく使えなかったら、中トロは食べられません。実は、この行動は、卓球、バスケットボールなどの競技をするときに必要な技能(skill)と一緒なのです。この「外界にあるものを把握する(入力機能)」「それが何か分かる(情報処理機能)」「見たものに対して行動を起こす(出力機能)」という三つの機能をビジョンと言い、これらの機能をうまく使えるようにするのが、ビジョントレーニングと言います。このビジョンの力は、文字の読み書きにも大きな影響を与えます。

次回は、読み書きに関するビジョンの力についてお話しします。