教育相談所だより9月号 読みやすい字を書くための秘策
読みやすい字が書ける人となんだか読みにくい字になってしまう人がいますね。今回は、読みやすい字を書くための秘策をお伝えします。
鉛筆やボールペンで書くと読みにくい字になってしまうのだけれど、毛筆(習字)だととても読みやすい字を書く人はたくさんいます。自分の書いたペン字と毛筆字の違いを実感している人は多いのではないでしょうか。毛筆の場合、文字全体の形や空間を大切にして書きます。例えば、「の」の場合、全体的な丸い形と線に囲まれた部分の空間の取り方を意識して書きます。実は、この文字の中にある空間の取り方で、「読みやすい字」「読みにくい字」の違いが出るのです。この場合、あくまでも読みやすい字ということで、きれいな字という意味ではありません。
筆者の経験では、文字を書く時の空間の取り方が上手になるための方法のうち、ジオボードで遊ぶことが最も効果的だという結果を得ています。
ジオボードは、ボートに何本かのピンが立っていて、そのピンに輪ゴムをかけて形を作って遊ぶ遊具です。実験的には、おおよそ20センチ角のボードに1インチ間隔で、縦5本、横5本の合計25本のピンが立っているものが効果的だということが分かっています。トレーニングは、課題シートを見て、ジオボード上に輪ゴムで、同じ位置に同じ図形を作ります。作る形は、単純な、三角、四角でいいのです。これを1日10分程度、週3回程度遊びます。すると、不思議なことにおおよそ3か月くらいで文字の感じが変わってきます。文字の変化は少しずつ変化するのではなく、突然変わります。ひらがなが書けなかった人が文字を描くことができるようになった例もあります。また、一つのボード上に二つ(もしくはそれ以上)の形を作る練習をすると漢字の学習効率が向上するという結果もあります。なんと、ジオボードで遊んで、デッサンが上手になった人もいます。
