令和4年度 第56回学位記授与式を挙行しました

2023年03月11日

本学 福山記念館大ホールにて、令和4年度芦屋大学大学院・芦屋大学の学位記授与式を挙行しました。

授与式に続き、学長より卒業生一人ひとりに学位記が授与され、吹奏楽による卒業記念セレモニー、学科別に記念撮影、交流会が執り行われました。

卒業生並びに修了生の皆様、おめでとうございます。教職員一同、皆様のご活躍を心より祈念いたしております。

 

令和4年度 学位記授与式 学長式辞

すっかり春らしくなり、桜もほころびそうなこの良き日、令和4年度の芦屋大学、ならびに芦屋大学大学院の学位記授与式を挙行できますことを、心より嬉しく思います。卒業生、大学院修了生のみなさま、そして、皆さんを今日までいつくしんでこられたご家族、保護者の皆さま、本日は誠におめでとうございます。また、本日は、いとうまい芦屋市長をはじめ、多くのご来賓の皆様にこうしてご出席いただいておりますこと、望外の喜びです。日頃の芦屋大学へのご支援と合わせまして、心より御礼申し上げます。本年度の卒業生修了生のみなさんは、さぞかし、誇らしく晴れがましい思いでいらっしゃることと思います。日本における大学進学率は短大を含めても50%を少し超える程度です。皆さんは最高学府の教育を受け、学士の資格を得られた特別な方たちです。ぜひその自負をもって今後の人生を歩んでいってほしいと思います。

 さて、卒業生の皆さんは、大学生活の大半をコロナのなかで過ごすことになりました。本日ようやくマスクを外してこの場に立っていることが、かえって非日常に思えるような不自由で悔しいことの多い日々でした。それでも、皆さんは、諸先生方の丁寧なご指導のもと、しっかりと学びを重ね、クラブ活動等でも立派な成績を上げてこられたことを見てまいりました。特に今年度は、学園祭やスポーツ大会などの大学行事等で、後輩のみなさんと協力して楽しんでいる皆さんの姿に触れ、うれしく思う場面も少しずつ増えてきました。今そのような日々を振り返り、友人との日々を懐かしく感じていらっしゃることでしょう。学生代表の方たちからは、卒業に際し大学に記念費をいただきました。芦屋大学への皆さんのあたたかな思いを大変うれしく思い、ますますこの大学を発展させることをお約束するとともに、そのためにありがたく使わせ頂きます。ありがとうございました。

 さて4月からみなさんは、社会にはばたかれます。芦屋大学の建学の精神である「ひとそれぞれに天職に生きる」を、皆さんがそれぞれものとしていくのはまさにこれからです。あなたがたの実力は未知数です。いかようにも生きていくことができる若さがあなた方にはあります。社会での自分の居場所を確立するべく積極的に学び、挑戦していっていただきたいと思います。

一方で、皆さんが羽ばたかれる世界は、バラ色とはいえません。少子高齢化社会であり、地球環境の危機は年々深刻になり、ウクライナでの戦争も出口が見えません。それでも世界は変わり続け、展開し続けていることは確かです。ITをはじめとする様々な技術はどんどん進展し、我々の生活をさらに便利に、効率的にしていくことでしょう。ポストコロナの社会では外国人労働者も再び増加していき、女性や高齢者が労働力としてより求められていくことと思います。あなた方が生きていくのは、そのような多様な価値観を持つ人たちが共存する激動しつづける社会です。そこであなた方は数々の出会いをし、考え、時に悩み苦しむことでしょう。

そのような、なかなかに難しい社会に乗り出す皆さんに、私からのエールとして、大切にしてもらいたいと思うことを一つ、お伝えします。私の尊敬する哲学者で、大阪大学の総長も務めた鷲田清一氏が、エッセイの中で「あの人は嫌なところもあるけれど、いいところもある」と認めることが「人権」である、と語っています。これはさすがの見識です。日常生活のなかで私たちは必ず、「嫌な人」や「嫌なこと」に出会います。そして、そのような人や出来事を否定してしまいます。鷲田先生が言うのは、ただ否定してしまうのではなく、いいところを探しなさいということです。いいところが全くないということはありえません。いいところがみつかれば、他者の尊厳を、考えを、認められます。嫌だと思った人ともつながり、無理だと思った出来事にも対応でき、難しい局面ものりこえられます。ぜひ嫌な人や嫌なことに出会ったときに、「ものごとを一つの視点からだけでみないおおらかな態度」が大切であることを、覚えておいてください。きっと役に立ちます。

卒業生、修了生のみなさん、本日はご卒業本当におめでとうございます。卒業生の皆さんの今後の人生が輝きに満ちたものとなることを心から祈り、私のお祝いの言葉とさせていただきます。

令和五年三月十一日
学長  窪田 幸子