教育相談所だより 11月号 自分を生きる、本音とは?
私たちが楽しく心穏やかに生きてゆくためには、自分自身を大切にすることが大切です。誰もが自分の理想とする自分を生きているのではありません。人は誰も、もっと容姿が違っていたらとか、もっと勉強ができたら、もっと明るく社交的な性格だったらなど、自分に対する不足感を持っているのです。カール・ロジャーズは、私たちがあるがままの自分を認めて、ありのままの体験や感情を受け入れられるようになることが幸せへの道と考えました。それは、私たちは何かができるから、何かをしている(doing)から価値があるのではなく、ただ、あるがままの自分として存在する(being)、生きているだけで十分に価値があるということです。自分という存在を探す時、多くの人は他人と比べて自分に足りないもの求める傾向にあります。その結果、疲弊する、諦める、鬱々とした日々が続くことがありますが、あるがままの自分は、自分自身の感情の中や体験の中にあるのです。
本音で生きるための方法には、いくつかありますが、その一つとして、自分の心の声に耳を傾けて、『そう思っているよね』と気づくことです。「嫌だったよね」「腹が立つよね」「許せないよね」「分かってほしかったよね」「本当はこう言いたかったよね」など、大切な人や小さな子どもに話しかけるように、自分自身に声を掛けてみてください。「こんなことを思う自分ではだめだ」「こう思わなくては」とせっかく出てきた自分の本音を押し込めようとすると本音が隠れて見えなくなってしまいます。
その他、これが自分と思っている自分像について、見直してみるという方法もあります。人は、1日の中で何万回という選択し、その多くは、目の前にあることを無意識に選択して、反射的に行動してしまっていると言われています。ネガティブな自分像は、生きるために使ってきたパターンであることが多く、苦しくても無意識に続けていることがありますが、周りのせいにせず、自分らしく本音で生きると決めると、新しい自分、新しい世界が見えてくるのではないでしょうか。
一人で向き合うことが難しい時は、周りの人に話す、書き出す、意識的にぼーっとする時間をとる、好きなことに熱中する、カウンセリングを受けるなど方法はたくさんあります。もし、相談したいことがあったらいつでも教育相談所に来てください。